新しいメニューを組む時はいつも、最初にとにかく作りたい料理をざーーっと五月雨の如き勢いで書き付けて、それをがむしゃらにジャンル別に分け、そこら辺でエスプレッソを胃に放り込んで頭を冷やし、その後は粛々と、冷徹な科学技術者の如く、売れそうにないもの、食材のロスが出そうなもの、突拍子もないものを削ぎ落としていく、という手順を踏んでやっているのですが…。。
この、削ぎ落とす、という作業が実に苦手なのです。
そもそも当店規模だと、グランドメニューは、本当に細かいものまで入れて70品位には抑えたいのですが、最初に書き出すメニュー候補はだいたい120品前後。およそ半数をお蔵入りにしなければならないとくればこれはもう、削ぎ落とす哀しみの重圧も半端じゃない訳です。
しかし、今まで売れてきたメニュー、明らかに売れるであろうメニューばかりに絞り込んでしまうと、結果実に冒険心のない無難なメニューになってしまうし、何より料理をする人間として退屈極まりない。そこで、「売れなそう、だけどこんなものを食べて欲しい」と思う料理を、最近でもメニュー改正の度に3品4品残すようにしてみるものの、それがまた謀られたかの様に見事に売れない…。
しかし、私は挫けません。
本日ご紹介するこの、「アボカド&ブルーチーズバーガー」もまさにそんな一品。
たっぷりの香味野菜と香辛料を地味に3日程煮込んで作ったバーベキューソースで焼き上げたパティ、ねっとり食感のアボカド、さくさく香ばしいオニオンリング、溢れるクリーミィなブルーチーズソース。
何と魅惑的な、と思うのですが、そもそもブルーチーズを使用している時点でぐっと対象が狭まってしまう。そしてバーガーにフライドオニオンが入っている、という状況に馴染みがない。
結果、殆ど売れない…。
テキーラダイナーでは、青カビの香りが鋭く抜ける、というよりは、クリーミィさの中に少しカビを感じるタイプのブルーチーズをベースにソースを仕込んでいるので、ブルーチーズが少し苦手と云う方にも結構召し上がって頂けたりします。過去にもそんな事が幾度となくありました。
そしてフライドオニオン。これがまた単調になりがちなバーガーの食感にザクザクとリズムを与えてくれます。食感のリズムが生まれる料理は食べていて楽しい。
揚げた玉ねぎの甘さは、単にそれを加えるだけだとバーガーのバランスを崩しがちですが、この場合、ブルーチーズソースの塩気と相まって程良いところに着地しているのではないかと思っています。
さて。
少しは食べてみたい、と思って頂けたでしょうか?
少しでも興味をお持ち頂けたなら、是非一度お試し頂けると嬉しいです。
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